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Japon Dialogue Série #2: 日本・対談シリーズ#2

M HONDA Keikichi et M MIYAO Takahiro:本田敬吉氏と宮尾尊弘氏との対談


HondaMiyao

M HONDA Keikichi et M MIYAO Takahiro:本田敬吉氏と宮尾尊弘氏

Dialogue vidéo extrait: 対談ビデオ抄録
ストリーミング:http://www.youtube.com/watch?v=amN5WQEtdKY&list=PL3VbFYYm8_nvhsLHBlI6xqgCJntWmuHvH
直接のリンク:http://japon-quebec.com/jd/miyaohonda/miyaohonda.m4v
(ビデオ撮影日:2012年11月14日、場所:東京都千代田区平河町・北野アームス)

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対談:

宮尾尊弘・筑波大学名誉教授、日本ケベック学会理事
本田敬吉・日本経済団体連合会顧問、国際通貨研究所理事、イー・エフ・アイ(株)会長

東京大学法学部卒業後、東京銀行(現・東京三菱銀行)入行。 82年カリフォルニア・ファースト・バンク(現・ユニオン・バンク)上席副頭取、 85年シカゴ東京銀行会長兼頭取などを経て、87年東京銀行チーフエコノミスト、94年常任参与就任。96年日本サンマイクロシステムズ会長(米国本社のサンマイクロシステムズ副社長兼務)を歴任。著書は、『金融先物取引入門』(毎日新聞出版)、『国際金融のしくみ』(有斐閣)、『これならわかる為替』(有斐閣)他多数。

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第1回対談の要旨

宮尾: 本田さんとは10年前の日本ケベック交流30周年記念のときにモントリオールにご一緒して、フォーラムを開催したことが思い出されます。当時日本とケベックが似たような問題、例えばグローバリゼーション、IT革命といった問題に直面して、今後どのように経済を活性化して盛り立てていくかを議論したと思います。

本田: 2003年のフォーラムのときは、その前の5~6年にわたって続いたITブームのバブルがはじけ、そろそろ心配になってきた時期でした。この10年については、前半はITバブル崩壊後の回復途上にあり、日本のマクロ経済は米国のITバブル崩壊の影響はそれほど受けずに比較的うまく回復したのですが、後半は世界金融危機という100年に1度の大ショックで金融立国である日本は大きく揺さぶられたといえます。

宮尾: 一方、ケベックはカナダの中の一つの州ということでクッションもあり、また政策的には、世界経済の大きな変動に対してファンダメンタルな力を付けようとして、IT産業、映画産業、3D産業、生命科学などの新しい分野を進んで取り入れて強い経済になっていった。これが過去10年間でケベック経済が10数パーセントも伸びた柱になっています。それに対して、日本はなぜそれができずに世界経済の荒波に振り回されてきたのでしょうか。

本田: まず経済規模の違いがあります。日本は外需依存度がそれほど高くなく、1億人の国内経済が大きいため、ある程度の規模でビジネスが成り立ってしまうという意味で「1億人経済の罠」ともいうべき状況にあります。それに加えて、日本の主要産業は不必要なほど多くのプレーヤーがひしめきあって苛烈な競争をしている点も大きな違いです。

宮尾: それに関連して、日本は国内経済に対する輸出入の比率は低いのですが、実は多くの中小企業は外需依存度の高い大企業の下請けになっているので、大企業がダメになるとその影響が国内に次々と波及していくことになります。その点、ケベックは、映画産業でもIT産業でも、小さな規模で若い人たちがベンチャー的なビジネスを立ち上げ元気に活躍しており、その結果として新しい産業が成長して腰の強い経済になっています。この点は、日本はぜひケベックから学ぶべきではないかと思います。

本田: ケベックと日本の経済が違う足取りをたどった理由は、内部事情として、規模の違いとともに、日本の人口依存度の問題が大きいと思います。1990年代に入ってからプラスの「人口ボーナス」からマイナスの「人口オーナス」へ転換してしまい、それが日本経済にとって逃れられない大きな足かせになっています。

宮尾: その点も、カナダ、ケベックが優秀な移民を積極的に進めていることを日本は学ぶべきです。それに関連するのが資源、環境の問題で、それの点ではケベックの北部地域開発に注目すべきでしょう。特に、日本は中国との関係もあり、レアアースの輸入先としてもケベックが重要となってくるのではないでしょうか。

本田: 最近ではシェールガスが世界的に注目され、これについてカナダ、アメリカがエネルギーの供給では世界で一番の地域になってきています。もう一つの流れとして再生可能なエネルギーの開発が進んでいますが、カナダ、ケベックについては、水力資源が豊富で北部地域の再生可能なエネルギー開発が進んでいます。日本はそれに積極的に参加してノウハウを日本が学ぶべきで、日本の持っている技術などで協調していく機会も大きいと思います。さらに、これから北極海航路の開発が進み、新たな交通手段としての北方が注目されます。最後に、北方開発のノウハウを日本がカナダ、ケベックから学ぶことは、日本の北方領土問題を考える上で非常に重要ではないでしょうか。

参考:
UQAM-GLOCOMモントリオール・フォーラムの要旨(2003年11月24~25日):
http://www.glocom.org/special_topics/activity_rep/20031215_miyao_mf/

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